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のんさん旅立つ

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金曜日の朝、「今朝早くに、Yさんがなくなったそうです。」と伝えられた。
がんの末期で、手の施しようがなく、入院中だった。
「土曜日に面会に行ってくるね。」と職場の同僚に話していた矢先だった。
「大好きな甘いものも受け付けなくなっている。」と聞き、会いに行く予定だったのに、間に合わなかった。
入院が長引き、形式上では学園を退園していた。
人生の大半を学園で暮らしていた。
家族以外、送ってあげるのは、学園の関係者以外いない。
金曜日になくなり、土曜日の午後には荼毘にふされた。
通夜、告別式もないお別れだったが、大勢の職員、利用者がお別れに来た。仕事でいけない人からは「代わりにお祈りしてきてね。」と頼まれた。
せめて棺を花でいっぱいにしてあげたかった。学園の枝垂桜が満開だったので、たくさん切り、お花屋さんに行き、「棺に入れたい。」と言うと、金額よはるかに多い花をいただけた。
アマリリス、バラ、ガーベラ、マーガレットなどなど、明るい色の花をいっぱい。
小さなブーケも用意し、車にあふれるくらいの花を持って、夜勤明けのYさんと斎場に向かった。
しばらくして、ご遺体が到着したので、ご家族と一緒に、のんさんの顔を見ながら、旅支度をした。
のんさんは、穏やかなとても安らかな顔をしていた。今まで見たことのないくらい、本当にいい顔だった。
退職された職員も何名か駆けつけた。わざわざ愛知県から駆けつけた、元職員もいた。
利用者さんたちも、黒い服に身を包み、みんな神妙な面持ちで、手を合わせていた。

のんさん、笑ったり、泣いたり、かんしゃく起こしたり、大きな声で唄ったり、時には職員を困らせることをしたり・・・だった。
入院生活を静かに送れるのかと言う、周りの心配をよそに、静かにベッドに横になっていた。
救いは、痛みをあまり感じていなかったらしいこと。
顔の穏やかさを見ると、苦しみの表情はまったく感じられなかった。
今生では大変窮屈な肉体だった。今頃は、軽やかになって、のびのびと「ふぁ~、すっきりした。」と自由にあっちこっち飛び回っていることだろう。
「穏やかに旅だつよ。」ノンさんの顔は、そんなメッセージを伝えている気がした。
何一つ悪いことをしない人生を送ったのんさん、今頃はきっと神様の隣。
お疲れ様でした!!ノンさん。

by oume1116 | 2010-04-25 09:37 | 日記